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“座ったまま”を極める!
カヤックでのキャスト精度を上げる身体の使い方
キャストが決まらないのは、道具じゃなく「姿勢」だった
カヤックフィッシングを始めたばかりの頃。
道具は揃えた。ルアーも一通り試した。
でも──思ったところにキャストが決まらない。
陸っぱりでは余裕で決めていた「岸際のピンスポット」や「橋脚のシェード」。
カヤックの上に座って投げると、なぜかブレる、届かない、方向がズレる。
「このロッド、合ってないのかな?」
「軽いルアーは無理なんだろうな…」
そんなふうに、ついタックルのせいにしてしまっていた頃がありました。
でも、ある日気づいたんです。
問題は「自分の身体の使い方」だったってことに。
“立って投げられない”前提で考えるカヤックのキャスト
カヤックフィッシングでは、立って投げることができるモデルもありますが、風やうねりがある日は危険。
結果、「座ったまま」キャストするのが基本になります。
ここで意識しないといけないのが、“立って投げるときの感覚”との違い。
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腕を振るスペースが限られている
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腰の可動域が少ない
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ロッドの反発が吸収されやすい
これらの制約が、座りキャストを難しくしています。
でも逆に言えば、体の使い方ひとつで劇的に変わるということ。
キモは「肩甲骨」「腰」「足の3点固定」
カヤック上でキャストの安定感を出すには、身体を“1本の軸”として保つことが重要です。
そのために意識したいのがこの3つ。
1. 肩甲骨を引く意識
投げる際に、腕だけで振ろうとするとブレます。
そこで、背中の筋肉(広背筋・僧帽筋)を使う意識を持つことで、ブレのないスイングになります。
具体的には、
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背筋を伸ばして、肩甲骨を軽く寄せる
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背中側からロッドを押し出すように投げる
こうすると、「ロッドのしなり」が最大限活かせるので、飛距離も方向性も安定します。
2. 腰を“回す”ではなく“固定”する
よく「腰を回して投げる」と言われますが、座ったままでは難しい。
むしろ腰は固定して、上半身で“ひねり戻す”動きが有効です。
ポイントは、
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骨盤をしっかりシートに密着させる
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ひねりは肩から上で行う
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腰から下は完全に“地面(カヤック)に根を張る”イメージ
これで、無理なねじれがなくなり、キャスト精度が安定します。
3. 足の裏をデッキにしっかり接地させる
座っているとはいえ、足の裏が浮いていると全身がグラつきます。
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膝をやや開き、足の裏全体を接地
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ヒール側に重心を乗せる
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足でカヤックを“つかむ”ような感覚
こうすると、下半身が土台として機能し、手先の操作にも余裕が生まれます。
キャスト軌道は“真上から斜め45度”が黄金比
座りキャストで一番安定するのは、真上から斜め前方に向けた軌道。
いわゆる「オーバーヘッド気味のスリークォーター」です。
この投げ方だと、
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肩の回旋が無理なく使える
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腕を広げずに済むので、障害物に当たらない
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ルアーのスピンが少なく、精度が高い
というメリットがあります。
※サイドスローやアンダーハンドももちろん使えますが、ブレやすく難易度は高め。
特に風があるときは、**素直な軌道で“巻き戻しをしないキャスト”**が結果的に安定します。
軽いルアーを投げたいなら「手首の返し」ではなく「押し出し」を使う
陸っぱりで軽量プラグを投げ慣れている人ほど、手首で弾く癖があります。
でも、カヤックの上ではそのスナップが効かないことが多い。
理由は簡単で、体の反動が使えないから。
ここで試してほしいのが、「手首で返す」のではなく、「手のひらで押し出す」イメージのキャスト。
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グリップエンドをやや脇に当てる
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リリース時に、手の平でロッドを“前に押す”
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放物線をイメージして、力は8割くらい
これだけで、5g前後の軽いルアーでも、しっかりと飛距離が伸びて、ピンに決まりやすくなります。
最終的には“キャスト=リズム”がすべて
慣れてくると、キャストは**「筋力」ではなく「テンポ」**で飛ばせるようになります。
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シートに深く座る
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肩を柔らかく動かす
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カヤックの揺れに合わせて“呼吸を合わせる”
不思議なことに、うねりがある日でも、波のリズムに合わせてキャストすると精度が格段に上がるんです。
これは身体全体が自然と“揺れに抗わず、受け入れている”証拠。
「座ってるから届かない」は間違いだった
カヤックでのキャストがうまくいかない時期、何度も感じていました。
「この釣り方、合ってないのかもしれない」
「自分にはまだ早かったかな」
でも実は、「立ってるか座ってるか」じゃなかった。
**どれだけ“座ることに向き合っているか”**がすべてだったんです。
座りキャストは、コツさえ掴めば
“思ったところに静かに着水させる”
“ピンスポットを何度も通す”
“着水と同時に食わせる”
そんな精密な釣りを可能にしてくれます。
おわりに:座ったままの方が“釣りに集中できる”という真実
立って投げれば見える景色は確かに広がる。
でも、座って投げると、ルアーが入っていく場所の“深さ”が見えてくる。
自分の身体をしっかりコントロールできて、狙った通りにキャストできるようになった時、
カヤックという釣りの世界は、もう一段深くなります。
もし「なんか精度が出ないな」と感じているなら、
まずは**“座り方”から見直してみる。**
それだけで、釣果も満足度も変わってくるはずです。