「大物がかかると怖い」SUPフィッシングのメンタルブロックとは
──引きの強さにワクワクするはずが、なぜ“恐怖”に変わるのか
✅【共感】「釣りたいのに、怖い」矛盾した気持ちを抱えたままの海上
朝の静かな海。SUPの上でラインを垂らしながら、
「今日こそ大物が出てくれたら嬉しいな」
と、心のどこかでワクワクしている。
でも、実際に竿先がガツンと持っていかれて、
ラインが一気に引き出された瞬間——
手が止まる。
竿を握る力が抜ける。
「このまま引っ張られて落ちるかも」
「SUPがバランスを崩すかもしれない」
そんな恐怖が一気に湧き上がってきて、心が固まってしまう。
これは実際に私がSUPフィッシングを始めて数回目の釣行で体験したことです。
狙っていたはずの“大物”がかかって、嬉しさよりも「ヤバい」という気持ちが勝った。
釣り人なら「釣れること」は目的のはず。
けれど、SUPの上での釣りは、かかってからが本番。
そして、そのときの恐怖心は想像以上に大きい。
✅【課題】なぜ“大物が怖い”のか?SUP特有の不安要素
SUPフィッシングの魅力は、手軽さと機動力。
だけど、SUPはもともとバランスに敏感で、風や波、そして釣りの動作一つで大きく揺れる乗り物です。
そんな中で、
-
強烈な引きで体勢を崩される
-
前方に引かれてSUPが回される
-
ロッドが折れそうになって焦る
-
魚の姿が見えた瞬間、さらにパニックになる
これらの経験が重なると、「怖い」という感情が先に立ってしまうようになります。
さらにSUPには以下のような**“不安材料”**があるのも事実です。
不安の要素 | 内容 |
---|---|
安定性の低さ | 立ち姿勢で釣ると揺れやすい。座っていても重心が高いとバランスを崩しやすい。 |
装備の少なさ | カヤックのように足を踏ん張る支点が少なく、ファイト中に姿勢を崩しやすい。 |
救助のしづらさ | 海上で落水した際、魚がかかったままだと復帰が難しいこともある。 |
心理的プレッシャー | ソロ釣行時、周囲に誰もいない状況だと緊張感が増す。 |
**「落ちたらどうしよう」「SUPごとひっくり返ったら」**という“もしも”が頭をよぎることで、
かかった魚とのやりとりに集中できず、竿を離してしまう人もいます。
✅【気づき】怖さは「経験不足」ではなく、「想定していなかった」から
私自身、最初のうちは「慣れてないから怖いんだ」と思っていました。
でも、何度かSUP釣行を重ねるうちに気づいたんです。
「大物が来たときのイメージトレーニングをしていなかった」
「ファイトの準備をしていなかった」
そう、“どう対応すればいいか”の引き出しがないことが、恐怖の正体だったのです。
釣りで怖さを感じるのは、何が起こるかわからない不確実性の中にいるから。
つまり、「もしも」に備えて準備をしておくだけで、心理的負担はかなり軽減されます。
✅【解決】SUPで“大物ファイト”を楽しむための準備と考え方
▶① 座ってファイトできる準備をしておく
立ち姿勢でのファイトは重心が高く、転倒リスクが高まります。
最初から座って釣るスタイルにするか、大物がかかったらすぐ座れるように意識しておくと安心です。
特にイス型SUPやクッション付きのSUPなら、座った状態でのファイトがしやすくなります。
▶② ドラグ調整を“ゆるめ”に設定しておく
ドラグが強すぎると、引かれた瞬間の負荷がSUP全体に伝わってしまいます。
予めやや緩めに設定しておき、引きが来たらラインを出しながら体勢を整えることで、無理のないファイトが可能になります。
▶③ 想定トレーニングをしておく
実際に魚がかかる前に、竿にテンションをかけて“耐える姿勢”を練習しておくのも効果的です。
-
片手で竿を保持しながら、もう一方でバランスを取る
-
魚が横に走ったとき、SUPが回る感覚を確認しておく
-
引き波でバランスを崩さない姿勢を体に覚えさせておく
このシミュレーションがあるだけで、いざというときの反応が冷静になります。
✅【実践】大物が怖くなくなった瞬間
ある日の朝マズメ。
沖の潮目で投げたトップウォーターに、ドカンと出た70cm近いシーバス。
以前の自分なら、絶対にあたふたしていた場面でしたが、
「姿勢を低く」「ドラグは緩め」「焦らずやり取り」と心で唱えながら、
落ち着いてファイトすることができました。
結果、SUPの上で見事ランディング。
この時、「怖い」と思う感情の向こうに、「楽しさ」が戻ってきたんです。
✅【提案】怖いのは、釣りを“やめる”理由じゃない
「大物がかかると怖い」
これはSUP釣りに限らず、誰しもが通る道です。
でもその“怖さ”の奥には、
**「釣りたい」「成功させたい」「楽しみたい」**という強い想いがある。
だからこそ、怖さを否定する必要はありません。
むしろ、それを乗り越える準備と工夫こそが、
釣り人としての成長に繋がっていくものだと思います。
✅ 最後に:大物との出会いは、怖さとワクワクのはざまにある
SUPフィッシングは、圧倒的な自然との距離感が魅力です。
そのぶん、不安や怖さもダイレクトに感じる釣りでもあります。
けれど、それを乗り越えて魚と向き合えたとき、
「SUPで釣った意味」がきっと深く心に刻まれるはずです。