パドリングで体力の9割消耗…釣りどころじゃなくなる本末転倒問題
──「釣りがしたくて来たのに、ほとんど漕いで終わった」という苦い現実
✅ 【共感】あの日の釣行。竿を出す前に疲れ切っていた
「今日は絶対釣れる気がする」
朝の海は凪。
潮も良い。
前日から準備をして臨んだ釣行。ワクワクしながら出艇し、目指すのはあの沖のブレイクライン。
でも──想像以上に向かい風が強くて、潮も早い。
SUPの上でパドリングしても、なかなか進まない。
10分、20分と全身の筋肉を使って漕ぎ続けて、ようやくポイントに到着したころには、すでに肩がパンパン。
「まずは一投…」とルアーをキャストしたその瞬間、
腕が重くて、アクションがまともにできない。
この時、心の中でつぶやいた言葉。
「俺、釣りしに来たんじゃなかったっけ?」
これ、私だけじゃなくて、きっと多くのカヤック・SUPフィッシング愛好者が一度は味わったことがある感情だと思うんです。
✅ 【課題】釣り場に行くまでの“運動”が本番の“釣り”を台無しにしてしまう
パドリングというのは、見た目以上に体力を消耗します。
とくにSUPの場合、立って漕ぐだけでバランスを取る筋力が必要ですし、風が少しでも出れば、1漕ぎ1漕ぎに全身の力を込める必要がある。
さらに、次のような環境条件が重なると、疲労は一気に倍増します。
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向かい風:進まない、漕いでも漕いでも距離が縮まらない
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潮流が逆:知らないうちに流されて、また漕ぎ戻し
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炎天下:直射日光で体力がどんどん削られる
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荷物の重さ:クーラー・魚探・タックルなどで艇が重くなる
それでも釣り人は、「ポイントに行けば釣れる」と信じて必死に漕ぐ。
でも到着したころには、
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キャスト精度が落ちる
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ルアーの操作が雑になる
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魚がかかってもファイトで踏ん張れない
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冷静な判断ができない
…という悪循環に陥り、本来楽しむはずだった釣りの時間が台無しになることも。
✅ 【気づき】「体力温存」は、釣果を伸ばすための戦略だった
あるとき、釣りのベテランにこう言われました。
「釣りって、魚との勝負と思われがちだけど、実際は“体力と集中力の管理”が勝負なんだよ」
この言葉が、自分の釣りを見直すきっかけになりました。
確かに、体力に余裕があるときは、
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魚の動きにも敏感になれる
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風や潮を読みながらベストなポジションを維持できる
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“もう1投”を丁寧にできる
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魚がかかっても落ち着いてランディングできる
つまり、釣りそのものの精度が上がるんですよね。
それに気づいてからは、「いかにして無駄に疲れないか」を第一に考えるようになりました。
✅ 【解決】“漕ぎすぎない釣行計画”の立て方
では、どうやって「疲れすぎない釣行」を実現するか?
いくつか私が試して効果があった方法をご紹介します。
▶① 風向きと潮流を読んでルートを逆算する
アプリ(Windyや潮見表)でその日の風向きと潮汐をチェックし、
「帰りが追い風・下げ潮」になるように計画する。
ポイント選びも、「帰路がラク」な場所を優先。
疲れた後に向かい風を漕ぐのは本当にキツいので、行きはしんどくても帰りは楽、という順路がおすすめです。
▶② 無理して沖に出ない勇気を持つ
「今日は凪だから行ける」と判断して沖へ行くも、
帰りに風が吹き始めて地獄を見るパターンは多いです。
ポイントが近場でも魚は釣れる。
**「引き返せる距離で釣る」**ことを前提にプランを立てるようにしました。
▶③ 道具の重さを見直す
地味に効いてくるのが、荷物の総重量。
魚探、バッテリー、ルアーBOX、飲料水…すべてが積もると10kg以上になることも。
私は以下のような工夫で負荷を減らしています:
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魚探を小型モデルに変更
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ルアーは1BOXに絞る
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クーラーをソフトタイプに
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飲料は凍らせたペットボトル1本だけ(保冷と飲用を兼用)
✅ 【実践】体力に余裕があると、釣りの内容が変わる
こうした“体力温存”を意識した釣行に変えてから、釣りの質が明らかに向上しました。
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キャストが雑にならない
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海の変化に気づける
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ファイト中に余裕がある
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ランディングで焦らない
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「もう少し粘ってみようかな」ができる
釣果そのものも増えましたが、それ以上に「釣りを最後まで楽しめる」ようになったのが大きな変化でした。
✅ 【提案】あなたの釣り、「疲れて終わる」状態になっていませんか?
この記事を読んでくださっているあなたも、
「釣りに行ったのに、実質“パドル修行”で終わった…」
そんな日が一度はあったのではないでしょうか?
もちろん、体力を使うこと自体が楽しい人もいます。
でも、もしあなたが本当に釣果を求めて、長く釣りを楽しみたいと考えているなら──
「体力温存は、戦略」
という視点を、一度取り入れてみてほしいのです。
✅ 最後に:「パドルを減らせば、釣りが増える」
SUPやカヤックは、自然と向き合いながら魚と勝負できる最高の遊び。
でも、**本来の目的は“釣りを楽しむこと”**のはずです。
もしあなたが今、「釣り場に着いた時点でもう疲れてる」なら、
ルート・装備・思考、どこかに改善の余地があるかもしれません。
あなたの釣りが、もっと自由に、もっと楽しめるものになりますように。
今日も安全に、そして楽しい1尾を目指して。