開発者が教える、BixpyJetバッテリーの「正しい使い切り方」―― 帰り道にバッテリーが切れる、その前に知ってほしいこと

開発者が教える、BixpyJetバッテリーの「正しい使い切り方」―― 帰り道にバッテリーが切れる、その前に知ってほしいこと

Bixpy Japanにお問い合わせをいただく中で、実はかなり多いのがこのご相談です。

「行きと釣り中にモーターを使いすぎて、帰りにバッテリーがほとんど残っていなかった」

先日も、初めてBixpyJetを持ってカヤック釣行に出られたお客様から、こんなお声をいただきました。朝、快適にモーターで沖のポイントまで一気に移動。ポイント間の移動にもガンガン使って、最高の釣りを楽しんでいた。ところが午後、岸に戻ろうとしたときにバッテリー残量を見たら、残りわずか1メモリ。向かい風の中、結局パドルで必死に漕いで帰ることになったそうです。

正直に申し上げます。これは製品の問題ではなく、「使い方」の問題です。そして、私たちの説明が十分でなかったことの責任でもあります。

BixpyJetのバッテリーは、正しい使い方をすれば丸一日の釣行を十分にカバーできるよう設計されています。この記事では、開発に携わってきた立場から、バッテリーの特性と、それを踏まえた効率的な運用方法を詳しくお伝えします。


まず知ってほしい、バッテリー消費の「基本法則」

BixpyJetのバッテリー消費を理解する上で、最も大事な原則がひとつあります。

出力を2倍にしても、スピードは2倍にならない。しかし、バッテリー消費はほぼ2倍になる。

これは水の抵抗の物理法則によるもので、BixpyJetに限らず、すべての水中推進装置に共通する特性です。水の抵抗は速度の二乗に比例して大きくなります。つまり、スピードを少し上げるだけで、必要なエネルギーは急激に増えるのです。

PP-378バッテリーの場合、具体的な数字で見るとこうなります。

スピード1〜3(低速域)では、4〜5時間以上の連続稼働が可能です。スピード5〜7(中速域)では、約2〜3時間。そしてスピード11〜12(最高速域)になると、約75分で使い切ってしまいます。

つまり、最高速で走り続けた場合と低速を使い分けた場合では、稼働時間に3倍以上の差が出るということです。ここに、バッテリー運用の最大のヒントがあります。


「帰りのバッテリー切れ」が起きる3つのパターン

私たちがお客様からいただくご相談を分析すると、バッテリー切れのパターンはほぼ3つに集約されます。

パターン1:行きに最高速で飛ばしすぎる

朝、海に出た瞬間のあの高揚感。わかります。モーターの力で一気にポイントまで駆け抜ける快感は、BixpyJetの大きな魅力のひとつです。しかし、スピード10〜12で20分走ると、それだけでバッテリー全体の約25%を消費します。往復で50%。残り半分で丸一日の釣りをカバーしなければなりません。

パターン2:ポイント移動のたびにモーターを全開にする

釣り場をちょっと移動するだけなのに、毎回スピード8以上で走る。100m先のポイントに移るのに、最高速は必要ありません。しかし、リモコンの操作が手軽なぶん、つい「ポチポチ」とスピードを上げてしまう。この「ちょい移動×高出力」の積み重ねが、バッテリーを最も無駄に消費する原因です。

パターン3:使っていないのにONにしたまま

これが意外と盲点です。ルアーを結び替えている間、魚とファイトしている間、仕掛けを交換している間。モーターの電源を切り忘れて、スピード1〜2のまま流しっぱなしにしている。スピード1でも電力は消費されます。10分、20分と積み重なれば、無視できない量になります。

心当たりがある方、多いのではないでしょうか。


開発者が推奨する「3:4:3の法則」

BixpyJetのバッテリーを一日通して安心して使い切るために、私たちが推奨しているのが**「3:4:3の法則」**です。

これは、バッテリー残量を3つのフェーズに分けて管理する考え方です。

最初の30%:出航〜ポイント到着まで

朝の移動に使う分です。ここでのポイントは、「最高速で飛ばさない」こと。スピード6〜7で走れば、最高速と比べて体感スピードの差はそれほど大きくありませんが、バッテリー消費は半分以下で済みます。到着時間が5〜10分長くなるだけで、残りの一日が格段に楽になります。

朝は潮も風も穏やかなことが多いので、中速でも十分なスピードが出ます。最高速は「使える」けれど「毎回使う」ものではない、とお考えください。

中間の40%:釣り中のポイント移動・流し釣り

一日の中で最も長い時間を過ごすフェーズです。ここでの鉄則は3つ。

ひとつめ、近距離のポイント移動にはスピード3〜5を使うこと。100〜200m程度の移動なら、これで十分です。

ふたつめ、流し釣りやトローリングにはスピード1〜3を活用すること。この速度域はバッテリー消費が極めて少なく、何時間でも使えます。風や潮で流されるのを補正する程度の出力なら、ほとんどバッテリーを気にする必要はありません。

みっつめ、釣りに集中するときはモーターを完全にOFFにすること。リモコンのボタンひとつで停止できます。「あとでまたONにするのが面倒」と思うかもしれませんが、同じボタンひとつで再起動できます。この「こまめなON/OFF」の習慣が、バッテリー寿命を劇的に延ばします。

最後の30%:帰港用のリザーブ

ここが最も重要なパートです。バッテリー残量が30%を切ったら、釣りをやめて帰港モードに切り替えてください。

「まだ30%も残っているのに、もったいない」と思うかもしれません。しかし、この30%は「保険」です。帰りは向かい風になっていることが多い。潮の流れが変わっていることもある。朝と同じ条件で帰れる保証はどこにもありません。

しかも、帰りに万が一バッテリーが切れたら、疲れた体でパドルを漕いで戻ることになります。あの30%は、あなたの安全を守るための「聖域」だと考えてください。


スピード設定を「使い分ける」ための目安

お客様から「結局、どのスピードをどう使えばいいの?」というご質問をよくいただきます。シンプルな目安をお伝えします。

スピード1〜3は「流し」のスピードです。潮や風に流されるのを止める、あるいはゆっくり流し釣りをする場面で使います。バッテリー消費は最小限で、このスピード域だけなら5時間以上使えます。

スピード4〜7は「移動」のスピードです。ポイント間の移動や、出航・帰港時の巡航に最適です。スピードとバッテリー消費のバランスが最も良い「おいしいゾーン」で、私たちが最も多用をおすすめする速度域です。

スピード8〜12は「ここぞ」のスピードです。急な天候変化で素早く帰港したい、強い向かい風に逆らう必要がある、といった場面のために温存しておくべき領域です。普段使いではなく、緊急時のブースターとして捉えていただくのが正解です。


LEDインジケーターを「見る習慣」をつける

BixpyJetのバッテリーには、上部にLED残量インジケーターが搭載されています。しかし、多くのお客様がこのインジケーターを釣行中に確認していないことがわかりました。

スマートフォンのバッテリー残量は一日に何度もチェックするのに、海の上で命に関わるBixpyJetのバッテリーはノーチェック。これは非常に危険です。

私たちがおすすめしているのは、1時間に1回、バッテリー残量を確認する習慣です。出航時に満充電を確認し、そこから1時間ごとにチェック。「1時間あたりどのくらい減っているか」を把握することで、残りの釣行時間を正確に逆算できます。

LEDが残り2メモリ以下になったら、それは「帰港サイン」です。迷わず岸に向かってください。


それでも不安な方へ ―― 予備バッテリーとソーラーパネルという選択肢

ここまでお読みいただいて、「計算しながら使うのは面倒だな」と感じた方もいるかもしれません。そんな方には、2つの追加オプションをご紹介します。

ひとつめは、予備バッテリーの携行です。BixpyJetのバッテリーは交換式なので、予備を1本持っていけば単純に稼働時間が2倍になります。水上でのバッテリー交換も簡単で、ケーブルを差し替えるだけ。これなら残量を気にすることなく、思い切りモーターを活用できます。

ふたつめは、防水ソーラーパネル「SUN80」の活用です。カヤックやSUPのデッキに置いておくだけで、釣りをしている間にバッテリーを補充してくれます。晴天時であれば、低〜中速での消費分をある程度カバーできるため、実質的な稼働時間をかなり延ばせます。

もちろん、1本のバッテリーでも「3:4:3の法則」を守れば丸一日使えます。しかし、「バッテリー残量を気にせず釣りに集中したい」という方には、予備バッテリーやソーラーパネルは確実な安心材料になります。


最後に ―― バッテリーは「使い切る」ものではなく「使い分ける」もの

BixpyJetを開発する中で、私たちが最もこだわったのは「限られた電力で、最大限の体験を届ける」ことでした。だからこそ、12段階の速度調整を搭載し、1〜3の超低速域でも実用的な推力が出るよう設計しています。

バッテリーを最高速で一気に使い切るのは、スマートフォンで動画を最高画質で再生し続けるようなものです。それも使い方のひとつですが、画質を少し調整するだけで、同じバッテリーで何倍もの時間楽しめる。BixpyJetも同じです。

「朝は中速で出航し、釣り中は低速を活用し、帰りの分はしっかり残す」。

たったこれだけの意識で、BixpyJetはあなたの一日を朝から夕方まで、安全に、快適に支え続けてくれます。

バッテリーの使い方ひとつで、海の上での安心感がまったく変わります。次の釣行からぜひ「3:4:3」を意識してみてください。きっと、BixpyJetがもっと頼れるパートナーになるはずです。


バッテリーの選び方やソーラーパネルの詳細は、Bixpy Japan公式サイト(bixpy.jp)でご確認いただけます。製品についてのご質問は、お電話(098-894-8833)またはメール(info@bixpy.jp)でもお気軽にどうぞ。

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